2008年1月29日火曜日
後藤新平がわれわれに呼び掛ける
後藤新平という人物がどの程度知られているかはわからない。ほとんど知られていないだろう。戦争という忌まわしい体験の中で、近代の日本のリーダーたちは伊藤博文以下、ほとんど、われわれの視野からはずれてしまった。もちろん、多くのリーダーが良かれ悪しかれ、この戦争に関係し幾ばくかの責任を負わざるを得ないことは確かである。しかし、今のリーダーが彼等に比べて優れているとは、誰も思わないだろう。辛うじて、近代日本のリーダーとして評価されてきたのは政治家以外のリーダーで、福沢諭吉や渋沢栄一、野口英夫、北里柴三郎、夏目漱石、森鴎外などである。しかし、もちろん彼等は当時の政治家とはさまざまな係わりがあり、友人であったり、先輩後輩であったりした。特に少ないエリートがリードしていた近代日本では、エリートの間の関係はわれわれが考える以上に強いものがあった。われわれはそれを見ないふりをして彼等に学ぶことがなく、そのつけが現在の日本人にまわってきている。後藤新平はたしかに外務大臣、内務大臣もやったので、政治家と見られても仕方がないのだが、今振り返って彼の業績を考えてみると、日本人のリーダーの中で、もっとも「公」的人物だったと言える。勿論、私が言う「公」は、われわれみんなという意味である。
登録:
投稿 (Atom)