2008年8月11日月曜日

戦後の社会は理想的?


今年も、あと4日で終戦記念日を迎えます。NHKのハイビジョンなどで戦争体験が語られます。私自身はものごころついたのが戦争の後ですから、戦争そのものの体験はほとんど語れません。しかし、戦後の復興期の記憶はかなりあります。多分この昭和20年(1945)の8月15日から昭和35年(1960)の間は、経済的には日本の歴史の中でも最も苦しい期間でしたが、社会的には最も優れた時代だったような気がしています。つまり、日本人社会に自由と自立と責任があった期間でした。たしかに、治安も悪く、社会が混乱しているようにみえましたが、皆、自分の生活を立て直そうと必死でしたし、良いことも悪いことも自分の責任でしかやりようがなかったのです。政府にいろいろ要求をしてはいましたが、だれも政府にそんなに力があるとも思っていませんでしたから、今のようにやたらに政府や行政を頼ったり、文句をいったり、訴えたりすることはありませんでした。そんな暇があったら、今日のご飯の事を考えることが先でした。親も子供の面倒さえろくろく見ることも出来ませんでした。子供も早くから自分で自分を守ることを覚えました。子供ですら良いことも悪いことも自分に責任があると思っていましたから、悪いことをすればひどく叱られ、殴られることも仕方がないと思っていました。親に言いつけること自体、友達からばかにされるもとでした。自分で始末のできない弱虫な奴ということです。池の柵がなくて落ちておぼれたらそれはその子の責任で、親のせいでもなければ、いわんや行政の責任など全く考えられませんでした。個人があり、地域には制度的なものがなくても実態として自治があったのです。皆、ある程度は助け合わなければ生きていけなかったからです。戦争で親を亡くした子供達がたくさんいて、親がなくてもなんとか頑張って生きていたのです。親がかわいがらなければ子供が育たない、親の愛情がなければ精神的に不安定な子ができるなど、まったくの俗説に過ぎません、社会が人間を育てるのであって、ある意味では戦後復興期のような健全な社会が正常な人間を育てるのです。