2012年9月5日水曜日

オーラルヒストリーの現場

昨日は久しぶりに緊張に満ちた一日でした。オーラルヒストリーのインタビューです。早めのお昼を先生のお宅で食べてから3人で出発です。インタビューするわれわれ3人の役割分担は決まっています。

こうした世界的な人物を相手にする場合はオーラルヒストリーの基本に則って、自分の役割をきっちり果たさなければなりません。しかも相手の関心をそらさずに、こちらが聞きたいことを聞かなければなりません。

ガラスが前面にはめ込まれ、後ろに専門の関係書籍の2重になった書棚、夏ですが、お茶のお湯をわかすストーブが片隅にあります。それでも室内の温度は快適です。吹き抜けの天井は非常に高く、この部屋で孵化したという蝶々が舞っています。明かりはすべて間接照明で夕方になってこの明るさはウイーンのゲミュートリッヒ・カイトの状況にわれわれを包み込みます。これこそ得がたい時間です。

これはジャーナリズムのインタビューとは違います。聴衆が問題なのではありません。時代の証言を得ることが問題なのです。これは学問なのです。その為に自分の出番に猛烈な集中力が必要です。主導する先生ともう一人の先生との絶対のチームワークです。特に「間」の取り方の巧拙によって聞けるはずのテーマを落とす心配があるのです。一般的には少し自分が出るところをずらすことが求められます。

私がこの道に手を染めたのは慶応の先生だった幼馴染みが「デジタル・アーカイブ」の仕事を始めたときからですから実際はもう30年近くなるわけです。いつの間にかライフワークになっているようです。

仕事を通じて人のつながりを確認する猛烈に面白い仕事です。これに情熱を掛けないわけにはいきません。

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